イノベーションという言葉が身近になって
「革新的なアイデアが欲しい、、、」と軽く言われます。英語でいうとイノベーションでしょうか。イノベーションなんてそんな簡単に起こせるもんではないだろうと思っている私ですが、まず学んでみるかとイノベーションマネージメントのワークショップを受講したことがあります(そもそもイノベーションは学ぶものなのかどうかも個人的には懐疑的です)
ワークショップの講師の先生がおっしゃっていたのは「毎日同じことをするのではなく、たまには違ったことをしてみることでイノベーションが創発されます」ということでした。
このメッセージの裏には多くのイノベーション事例が既存のものの組み合わせによって発生しており、「自分が知っている事」と「自分が知らなかったこと」を重ねあわせることで新たなアイデアが生まれやすいという思想があるようです。
本当にそうなんでしょうか、、、
ちなみにものづくりの世界ではよく以下の二つのタイプのイノベーションが議論されます。
①プロセスイノベーション
➁プロダクトイノベーション
①については日本のメーカーのお家芸です。私はこういったイノベーションは多くの場合、起業やプロフェッショナル集団の長年の経験、知識にさらに知恵を組み合わせて築かれるものであり、多くの場合「現場」から発生します。こういったイノベーションは新参者がそう簡単に創り出せるものではないと考えています。
➁についてはどうでしょうか。商品企画でイメージするとわかりやすいかもしれませんが、現場までいかない企画段階ではどちらかというと奇抜性が求められ、専門的なことを「知らないこと」が固定概念や既成概念といった障害を打破する武器となり、思いもよらないイノベーションが導かれやすかったりするのではとも考えます。
実はこの二つのイノベーションは、「革新的」という意味では共通の特徴を有していますが、その創発環境は大きく異なると考えています。また企業も自社のポジショニングを考えたうえで、どちらが強みでどちらが弱みなのか、理解したうえでのイノベーションマネジメントへの取り組みが必要なのだと思います。
ちなみにプロフェッショナル(専門家)と呼ばれる人たちは、①の類で成果を出す人が多いと思います。アスリートもそうですが、必ず大事な舞台の前には願掛けなど、普段のルーチンを大事にすることで、どのような環境でも一定の成果を出せるような精神状態を作り出します。彼らのようなプロフェッショナルは「繰り返す」ことで、自身を磨き上げ、他人が到達できない地点を切り開き、圧倒的な強さで結果を出していきます。これは他人から見たら革新にみえるのだと思います。そこに到達した人はあまりいませんからね。
一方でアーティスト(芸術家)は➁の類が得意な人が多いのだと思います。同じ作品を大量生産していて、絵を描く技術を磨くことはできても新しい絵を描くことはできないですよね。彼らは1作品1作品を大事にして、それぞれに芸術的な要素を吹き込みます。これは「繰り返す」よりも「違うこと」に取り組むことにより養われる感性でしょうか。
話はもどりますが、前段の「いつもと違うことをする」というのは➁の類を創発するのに役立ちますが、①を目指す人にとっては単なる脱線かもしれませんね。限られた時間とリソースの中で「一つに集中するのか」、「取組を多様化するのか」、この相反する概念をどのように自分の人生に取り込んでいくか、非常に考えさせられます。
自分の人生でこれからイノベーションと出会えることはあるのだろうか、と思いつつ、以下の本を手にしてみました。こちらは個人の人生の考え方を、企業の戦略を考えるフレームワークと絡めながら「どうあるのがよいか」読者に問いかけています。前段のイノベーション創発の話とはあまり関係ないですが、面白い一冊です。
また、とりとめもない形ですが、今日はこのあたりで、、、